初夏の装花で出会ったスモークツリー。そのふわふわとした不思議な質感に、一瞬で心を奪われました。
切花ではなかなか見かけない植物ですが、ふんわりと広がるその姿は、まるで煙のよう。
家族も「これなに?」「花なの?葉なの?」と興味津々で、そこから話がふくらんでいったのも印象的でした。
今回は、そんなスモークツリーの魅力と、季節の流れをご紹介します。

幻想的な質感にうっとり
スモークツリーとは
「煙の木」とも呼ばれるスモークツリーは、ウルシ科の落葉低木。花が終わったあとに残る花柄(かへい)がふわふわと伸び、まるで煙が立ちのぼるような幻想的な姿を見せてくれます。
ふわふわと風に揺れるこの姿は、6月頃のほんの短い期間にしか見ることができず、その儚さがまた、魅力のひとつなのかもしれません。

自然な広がりと葉のバランスが美しい
花言葉と名前の由来
スモークツリーの花言葉には「賢明」「煙に巻く」「けむる恋」など、少しミステリアスなものが並びます。
名前の由来は、その姿から。
英語では “Smoke tree” や “Smoke bush” と呼ばれ、日本でもそのまま「煙の木」という訳で知られています。
ふわふわ植物の仲間たちとスモークツリー
ふわふわとした質感を持つ植物には、ほかにもイネ科の仲間がたくさんあります。たとえばパンパスグラスやススキ、ラグラスなどは、ドライ素材としても人気。
下の写真は、バンコクのレジデンスのレストラン入口に飾られていたパンパスグラス。そして、初秋のホテル装花では、白いパンパスが印象的に使われていました。

風になびく姿が涼やか

パンパスグラスが季節を彩るアクセントに
これらと比べて、スモークツリーのふわふわには「軽やかさ」や「幻想性」があり、同じ“ふわふわ”でも、どこか空気のような浮遊感が感じられます。
スモークツリーを暮らしに取り入れるには
◐切花として楽しむ
市場では主に5月下旬〜7月中旬にかけて出回ります。フレッシュなものは水を吸いにくいため、枝をしっかり割って深水で管理するのがおすすめ。また、自然にドライになっていくので、長く飾りたい方にもぴったり。
◐鉢植えとして育てる
鉢植えとして販売されるのは春〜初夏が中心。日当たりと風通しのよい場所を好み、水はけの良い土を使うと◎
乾燥には強いですが、蒸れにはやや弱いため、夏場は風通しに注意が必要です。
スモークツリーの1年と流通時期
植物としての生育の流れと、流通・管理の目安を一覧でまとめました。
スモークツリーの1年の流れと見どころ
時期 | 状況 | 見どころ・注意点 |
---|---|---|
2月〜3月 | 落葉期/剪定や植え替えの適期 | 鉢の植え替えや地植えもこの時期に |
4月 | 新芽が動き出す/葉が展開 | 赤系や緑系の葉色も魅力 |
5月中旬〜6月 | 開花期 → もくもくタイム! | 花が咲いたあと、花柄が伸びてふわふわに |
6月〜7月 | 切花としても流通最盛期 | 市場・花屋さんでも見かけやすい時期 |
8月 | 花後の管理期/葉はしっかり残る | 鉢は乾燥に注意/剪定は控えめに |
9月〜10月 | 落葉準備/紅葉する品種も | 葉が色づくものもあり、シーズン終盤へ |
11月〜1月 | 完全落葉/休眠期 | 枝ぶりを整えるのに適したタイミング |
今回出会ったスモークツリーたち
ホームセンターで偶然見つけたスモークツリーの鉢植え。
見上げるように枝が伸び、淡いピンクのもくもくが陽に透けて、とても美しかったです。
その姿に、いつか我が家でも育ててみたい…と夢が膨らみました。

見るたびに惹き込まれる姿です

まるで光をまとった煙のよう
■筆者のミニメモ
- 今回の装花はペニンシュラ東京で出会ったもの。
- 季節を彩る花の演出に、やはりプロの技を感じます。
- スモークツリーは、自然の美しさを教えてくれる存在。
まとめ
スモークツリーは、初夏のほんのひとときにだけ現れる「自然のアート」のような存在。その軽やかな質感と幻想的な佇まいに、心がやわらかくなる気がします。暮らしの中に、ふわふわの魔法を添えてくれる植物。ぜひ、見つけたときにはその魅力を味わってみてくださいね。
スモークツリーの美しさが際立ったホテル装花も、ぜひご覧ください⇩
